禁漁中の渓流釣りに行けぬ無聊を慰めようと、昨日、思わず甲府行きの特急あずさに飛び乗った。
3連休なので、どのポイントも人、人、人。
どのプールもこんなに魚影が濃いのに、大勢の釣り客のルアーやフライに叩かれすぎて徒党を組んで底のほうでじっとしていた。
すぐ隣で、水中に沈めるビーズヘッドエッグで執拗に狙い続けるフライフィッシャーがいた。またその隣には、ルアーを次々と手を替え品を替えして、じっと何かに耐え続けている魚群に撃ち続けるルアーマン。なんだか虚しい気持ちになった。もうちょっと散らして上流でやればいいのに。
視線を感じたのか、彼がこちらを振り向いた。ドキッとした。
目がボクに似ていたから。自分の目にも、狂った光が宿っていたのかも知れない。
釣りは、人を狂気へと誘う。
釣りは魚だけが居て、人のいない、静かな場所で。究極の理想であり、釣り人の卑しい思想でもある。
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