釣行する川の虫のハッチ(羽化)チャート表を駆使して、春のフライを選定する。
これは『マッチ・ザ・ハッチ』といって、フライ・フィッシングの醍醐味でもあるのだ。
それなりに巻いてきた。
急いで降ろしたてのSIMMSのヒップバッグにいろいろ道具を詰め深夜に出発・・・。
もはや行かんとする川の区間や地形は暗記した。ネット情報社会になったが、こと釣り場所の情報となるとネットに流れてくる釣果情報の90%はウソっぱちである。(情報速度が速ければ速いほど他人が殺到するんだから、そりゃそうだよな)
で、行ってきたですよ。行きつけのフライショップさんで生の情報を仕入れて山梨忍野方面。イー感じで好釣!
本来のフライフィッシャーなら、その川の流下物を採取してその場で毛針を巻くのが通なのだが、めんどくさいしガサばる。チャート表があると家で準備して巻けるから先人からの恩恵は多大である。
この時期、この川だとコカゲロウがハッチしているということで、使ったフライはコカゲロウを模したCDCダン。魚体をパーマークで彩った美しいヤマメが、水に穴を開けて飛び出してきた。ああ、これぞマッチングの妙。背筋がぞわわ〜と来ます。
22〜3cm程度ばかりだったが最高、上々。ヤマメほどかっこいい魚はいないと思う。
ヤマメは北海道から九州まで広く分布しているサケ科の魚。
ヤマメの寿命は3年で、1回の産卵で死んでしまう。メスはほぼ100%海に下りサクラマスとなり、パーマークは消失する(ちなみにこのサクラマスが富山のマス寿司らしい)。
神奈川の酒匂川以東の太平洋側の渓流にいるのがヤマメで、酒匂川以西はアマゴという(海に降りるとサツキマス)。
本州では卵から産卵まで、天然でその一生を循環できる地域はかなり少ないと言っていい魚なので、放流事業など人の保護がないとまず釣れない。
ヤマメは大変美味なため食用として釣りをする人も多く、特においしいのは新仔なので大量に持ち帰る人が多い。解禁と同時に放流されると釣り人が殺到するのもそのためだ。
食べる釣りを否定するつもりはないが、小さな新仔を全て持って帰ってしまう行為は、結局自分の首を締めることになる。
この写真はフライの名人渋谷直人さんが釣った尺ヤマメだが、ここまで育てて残してあげないと、かっこいい魚も本当に釣れなくなる。
尺ヤマメはその希少さと美しいパーマークによって、川に君臨する女王とみなすにふさわしい。
食べる楽しみを残しつつ、将来もその川で釣りを続けていけるために必要なことは、体長制限なりマナーなりが必要なのではないだろうか。
渓流魚との出会いはちょっとした奇跡だ。(写真:catch magazine)
こんな魚と、人との邂逅がもたらしてくれるめまいを求めて、今年もまた、渓に入る。
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